SKAT16鑑賞ガイド その6

今日も、SKAT16鑑賞ガイド。

 

14.ChatWork
機能の説明じゃなくて。

個別の機能の説明は、ボディーでもいい。
チャットワークをまだ知らない人に、
全体像とその価値が伝わるものを。
「ビジネスが加速するクラウド会議室」は、
説明としては分かるけど、ちょっと抽象的。
後は、どう「加速する」のか、可視化したい。
テレワークにしても外回りとの連携にしても、
拠点間連携にしても社内外の連携にしても、
そういうことができるというだけでは弱い。
そもそも、導入事例を読んだ感じでは、
「遠隔連携」限定というわけでもなさそう。
あくまでも本質的な価値に基づいて、
「効率化」への期待を高められるか。

 

15.ディーエムソリューションズ
あくまでもキャッチ―に。

「人材採用」に寄りすぎる必要はない。
顧客目線ではなく就活学生目線で、
この企業の仕事の魅力が伝わるように。
「この企業に入るとこんないいことが」、
的な話は、ちっちゃすぎるのでは。
オリエンの通り、キャッチ―なものを。
出題企業が言っている「キャッチ―」は、
「つぶやき」や「あるある」じゃなさそう。
覚えてもらえることを重視したい。

 

明日は、SKAT16鑑賞ガイド、その7。
では。

SKAT16鑑賞ガイド その5

今日も、SKAT16鑑賞ガイド。

 

11.セゾン自動車火災保険
余計なことをやるんじゃなくて。

この課題は、宣伝会議賞では難しい。
ウェブサイトで使われているこの文言でいいから。
「事故率が低い40代・50代の保険料を割安に!」
前回の一次通過作品を見てみると、
余計なことをやってばかりで、
上記の文言より効きそうなものはない。
わざわざ遠回しに小難しく言っているか、
「保険料が安くなった」の前か後に、
余計なことを付け加えた作品が多すぎる。
ただ、何をやればいいかは、かなり難しい。
強いて言えば、「割安だと知る」ことを、
「実際に乗り換える」につなげること。
知れば動くとは限らないことは、
カードのポイントの例でも明らか。
「言う」だけなら上記の文言でいいし、
「40代・50代にうれしい」もある。
「動かす」に集中した方がよさそう。
なお、他の自動車保険にも年齢条件はあります。

 

12.セメダイン
価値訴求より認知向上。

特別なことを言う必要はないと思う。
セメダインのありのままの姿を、
知ってもらい、覚えてもらえれば。
一度見たら忘れないくらいの印象度で。
第48回・第50回のオリエンと比較すると、
出題企業が意識したのかは不明ですが、
今回のオリエンの方がその方向に近い。
課題の文言からも、「発見」にこだわらず、
認知度が上がれば課題解決になるのでは。

 

13.高松建設
100周年ですよ、100周年。

周年の中でも、企業にとっては最大の節目。
100周年にふさわしい、志を感じるものを。
節税対策あたりは訴求力はあるとしても、
100周年のキャッチとしてはせこい印象。
そういう細かい話は、ボディーでいいでしょ。
また、でっちあげのエピソード系はご勘弁。
マンションの自慢話とかは的外れで論外。
「100周年あるある」は・・・、ないない。

 

明日は、SKAT16鑑賞ガイド、その6。
では。

SKAT16鑑賞ガイド その4

今日も、SKAT16鑑賞ガイド。

 

9.クレディセゾン
新しいアプローチを。

オリエンに従えば、ポイント以外が優先。
容易ではないけど、成功すれば高評価。
ただ、作る側の都合が出すぎないように。
メリットを強調しようとするあまり、
無理がある作り話になってはダメ。
素直に「そうだな」と思えるものを。
課題の文言からは、ポイントも可。
ただし、新しい訴求のアプローチを。
ポイントがたまること自体は知られていて、
それでもなお現状があるわけで。
表現を変えても、単なる描写では苦しい。

 

10.サントリー
最強、とにかく最強。

訴求点は、「最強」しかない。
後は、それをどう表現するか。
商品そのものを描くか、
飲んだ人を描くか、
飲んだことによる効果を描くか。
雰囲気にも気を使いたい。
「だらだら」や「へらへら」はなし。
「まじめ」や「遠い目」もなさそう。
よくある「あるあるネタ」は、
「最強」とは相性が悪そう。

 

明日は、SKAT16鑑賞ガイド、その5。
では。

SKAT16鑑賞ガイド その3

今日も、SKAT16鑑賞ガイド。

 

6.キヤノンマーケティングジャパン
作らない理由は何か。

「作りたいけど面倒そうだから」か、
「普通のアルバムで十分だから」か。
実際は両要因が混在していそうだけど、
キャッチはどっちかに絞らないと弱い。
オリエンは、圧倒的に前者寄り。
ただそっちは、普通に説明すればいいかも。
宣伝会議賞向きなのは、後者のような。
消費者感覚で後者の要因が強いと考える人は、
「作品の意図」に書けば、後者でもいいのでは?
どういう作品を模範解答と考えるか、
人によってかなり違ってもおかしくない。

 

7.牛乳石鹸共進社
「ずっと変わらぬ」とはいえど。

6年連続出題による飽和にどう抗うか。
商品の性格上、爆発すればいいわけでもない。
既視感のあるキーワードを避けつつ、
「やさしさ」への共感をどれだけ呼べるか。

 

8.霧島酒造
この100年と、次の100年と。

商品広告ではなく、企業広告。
商品に埋没しすぎるのは避けたい。
この100年の歴史への誇りと、
次の100年の未来への意志、
できれば両方を感じさせるものを。

 

明日は、SKAT16鑑賞ガイド、その4。
では。

SKAT16鑑賞ガイド その2

今日も、SKAT16鑑賞ガイド。

 

4.エフステージ
「中古はダメじゃない」では不満。

「ダメじゃない」を強調するだけだと、
むしろダメそうなイメージが伝わりかねない。
リノベーション系の中でも高級な部類だし、
それにふさわしいポジティブな表現を。
あと、うさんくさい作り話、もうやめません?

 

5.キッコーマン
あくまでも課題に沿って。

第48回のセメダインの二の舞は避けたい。
「しょうゆなら何でもあり」では困る。
日本だけにとどまるようなものは不可。
また、「この国のこの料理にも」的な、
事実の描写ばかりになることを危惧。
企業に対する提案としての価値が低い。
よほど選択の妙があれば別ですが。
もっと危惧すべきは、しょーもない話。
「パスタに醤油をかけている人を見た。
イタリア人だった。」みたいなのとか。
そういう人がいたとして、それで?
表現以前の視点の勝負になりそう。

 

明日は、SKAT16鑑賞ガイド、その3。
では。

SKAT16鑑賞ガイド その1

今日から、SKAT16鑑賞ガイド、本編に入ります。

 

1.アサヒグループ食品
描写ではなく増幅を。

いろいろありそうな訴求点の多くは、
伝えるだけなら普通に言えばいい。
わざわざややこしくしてもしょうがない。
何かしら「増幅」できているかが勝負。
数を出すだけなら出しやすそうだけど、
1等賞を狙える作品がどれだけ出るか。

 

2.アットホーム
不即不離で。

始まって日が浅いサービスだからか、
現状では情報はそこまで充実していない。
多少は将来の整備を織り込むとしても、
非現実的すぎるでっちあげ話は不可。
実情に即し、サービスの本質的価値を。
条件をより理解してもらえること、
指名によるスタッフの意識の向上、
その辺りに限られてくるとすれば、
表現でのジャンプが鍵になりそう。
「一人暮らしの家を探すつもりだった。
 二人暮らしの家を借りることになった。」
みたいなリアリティーのない話は拒絶したい。

 

3.エステー
芳香剤にふさわしく。

「消臭剤」ではなく、「消臭芳香剤」。
「臭くない」では「芳香」のイメージが出ない。
エステー臭」からも、離れた方がいいかも。
高田鳥場が出て来そうな感じの商品ではなさそう。
と思いきや、課題シートに出ちゃってますね・・・。
なお、誰もが最初に思いつく"Shall We Dance?"は、
実際にエステーのCMで使われているので不可。

 

明日は、SKAT16鑑賞ガイド、その2。
では。

SKAT16鑑賞ガイド ウォーミングアップ

一部のマニアの皆様、お待たせしました。
『SKAT16鑑賞ガイド』、連載開始です。
本編は明日からにして、今日は前提をいくつか。

 

第54回宣伝会議賞の各課題について、
あるべき審査のポイントを考察していきます。
前回の「課題分析シリーズ」より規模を縮小し、
1日に複数の課題について書いていく予定。
遅くとも年内には終わるくらいのペースで。

 

その前に、新規読者のために、自己紹介を。

宣伝会議賞は、今回で3回目の参加。
応募本数は、3回とも各課題1本ずつ。
最適なアプローチを見定めて作る方針で。
過去2回は、いずれも一次審査で全滅。
他の公募賞も含め、何の実績もありません
また、コピー講座等を受講したこともありません。
(コピーや広告関連の本は何冊も読みましたが。)
ですが、あるべきコピーやCM企画について、
他の多くの参加者よりも深く考えているつもり
SKAT掲載作品のほとんどはダメに思えます。
(ただし、前回はかなりマシになったという印象。)

 

次に、分析の観点について。

広告の賞としては、課題解決を目指すのが前提。
基本的には、「使えるか・効くか」を優先的に
ただ、「試作の場」という賞の性格を踏まえると、
実務で普通に出てくるものだけでは寂しいので、
「広告としての絶対値が大きいもの」も目指しつつ。
協賛企業賞と審査員選出賞では軸が違うとしても、
矛盾はしていないし、両立は可能だと考えています。

 

以上で、ウォーミングアップ、完了。

 

明日は、SKAT16鑑賞ガイド、その1。
では。