おすすめ本その4:『欲しい ほしい ホシイ』(小霜和也著)

おすすめ本紹介シリーズの最終回は・・・

『欲しい ほしい ホシイ』(小霜和也著、インプレスジャパン

『ここらで』の著者でもある小霜和也さんによる、
ヒトの「心のメカニズム」(「心」というより「脳」かな)、
特に、理性より本能の観点から広告を考える本
他に類書がないという意味でも絶対のおすすめ。
たしか一時は入手困難でしたが、今は簡単に入手可。

 

この本のキーワードの一つが、「情報フォーメーション」
商品を効率よく認知してもらうための情報の取捨選択と構成。
多くの広告で商品が「選択的無視」されていることを指摘し、
受け手の意識を商品に向けさせる重要性を説いています。
この話はCMの例から始まるのですが、コピーの場合も、
「商品の存在がなければ成立しない」ことが必要ではないか、と。
SKATに載っているダジャレコピーやあるあるコピーなどは、
この要件を満たしていないものが多いような気がします。

それから、「レトリック」についても詳しい考察が。
レトリックを「圧縮ファイル」と定義した上で、
「レトリックは話者と聞き手の共同作業」とのこと。
話者(書き手)が圧縮し、聞き手が解凍する。
解凍の負荷が高すぎず低すぎず、が肝要。
この辺りも脳のメカニズムとの関連で語られています。
SKATに載っている多くのコピーって、圧縮どころか、
余分なものを付け足すことで違いを出そうとしてません?
そこで違いを出しても劣化するだけだと私は思うのですが。

 

ちなみに、「宣伝会議賞」という文字列のリンクの先に、
小霜さんのブログのこんな記事があります。

『np.広告学校に来てほしくない人。』

http://koshimo-blog.com/?p=1145

最初に挙げられているのはなんと、
宣伝会議賞コピーが広告コピーだと思ってる人」

この記事には誤認も含まれていると思いますが、
私が問題にしたいのはそこではなくて・・・。
本来、小霜さんは宣伝会議賞に興味はないと思います。
が、受講生を選ぶための「機能することば」として、
真っ先に選んだのがこの表現だったわけです。
宣伝会議賞は、それほどずれている、ということでは。
もちろん、全部ダメってことじゃないとしても。
宣伝会議賞に取り組む自分のスタンスを見直す上でも、
小霜さんの本は読んでおいたほうがよいと思います。

 

少なくとも、「ある種の広告コピー」の賞でなければ、
宣伝会議賞の存在価値はないと私は思っています。